資産運用で不動産投資始める際に知っておくべき税金と確定申告の話

このエントリーをはてなブックマークに追加
電卓の下に決算書とボールペン

資産運用を考えたとき、投資先のひとつとして「不動産」を考えている方も多いでしょう。不動産投資で重要なのが税金です。まだ不動産投資を行っていない方だけではなく、既に投資している方も、あらためて不動産投資と税金について学んでおきましょう。

不動産投資で利益にかかる税金できるだけ抑えるには

副業で不動産投資を行う場合、給与所得に加え、不動産投資から得た利益に対しても所得税や住民税がかかります。投資として行うからには、経費と所得の種類をしっかりと抑え無駄な税金を支払うことが無いようにしましょう。

資産運用「不動産投資」で得る2つの所得

不動産投資で得る所得には「不動産所得」と「譲渡所得」の2つがあります。
「不動産所得」は、マンションやアパートなどの不動産経営をして得られる家賃収入などのことです。
また、「譲渡所得」は、不動産を売却して得る利益のことです。この「譲渡所得」は不動産所得と違い、ほかの所得と分離して、所得税と住民税がかかります。税率は所有期間が長いほど低く、最短の不動産取得後5年以下で売却した場合、「短期譲渡所得税」として39.63%もの税金がかかります。売買による利益を考えた場合売却するタイミングなど注意が必要です。もちろん、売却により赤字となった場合、納税は不要となります。

資産運用でマンションやアパート経営をした際に得る所得

「譲渡所得」ではなく「不動産所得」で得る所得には、毎月の家賃以外にもさまざまなものがあります。以下も所得となりますので、収入の申告漏れがないよう忘れずに計上しましょう。

〈敷金・礼金〉

礼金と返還義務のない敷金は、収入として計上しなければいけません。敷金はまず預り金として計上し、最終的に返還しなかった分が収入となります。返還した分は収入となりませんので注意しましょう。

〈更新料・受け取った頭金〉

売買時に受け取った頭金や、アパートの更新料も収入となります。

〈共益費〉

アパートの共有部分にかかる電気代や水道代などの名目で受け取っているものも、収入としてカウントされます。

不動産投資における経費の把握

不動産投資における税金の確定で重要となるのが費用の計上です。確定申告時になるべく経費を計上することで、納税額を減らすことができます。

不動産所得にかかる所得税は、「課税所得×税率」で計算することができます。課税所得を算出するための計算式は以下のとおりです。

(不動産による収入-不動産にかかった費用)+他の所得-所得控除

この計算式を見てわかるとおり、不動産にかかった費用をなるべく多く計上することで、不動産による収入を計算上減らすことができる、というわけです。

実際に所得税を計算してみましょう。所得税率は以下の表を参照してください。

所得税率 所得税率

所得金額所得金額
195万円以下
税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万超33万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円

不動産による収入が年間200万円、給与所得控除を差し引いた後の給与所得が600万円あったとします。不動産による経費を計上せずにこのまま所得としたとき、課税所得は800万円、税率は23%、控除額は636,000円ですので、約120万円が所得税となります。

一方、不動産投資による経費を150万円計上した場合には650万円が課税所得となり、税率は20%、控除額は427,500円です。よって、約90万円が所得税となります。

150万円分の経費を計上できたときとまったく経費を計上しなかったときでは、30万円も税額に差が出ています。経費にできるものは、忘れず経費として計上しましょう。

計上できる費用一覧

不動産収入から差し引ける費用として計上できるものは多くあります。経費の計上漏れがないよう、今一度確認してみましょう。

新聞図書費 不動産もしくは税金に関する書籍の購入費用
通信費 管理会社や入居者との連絡に利用したもの
専従者給与 青色申告者で事業の労働を行う家族への給与
減価償却費 建築費・リフォーム費
租税公課 固定資産税や都市計画税など
損害保険料 火災保険、地震保険、アパート用補償保険など
ローンの利息 投資している不動産に対するローンの利息分
ローンの保証料 〃 保証料分
接待費 管理会社との打ち合わせの会食費用等
交通費 物件管理のための交通費等
管理費 管理会社に支払う費用
税理士報酬 税理士に業務を依頼した場合
未回収賃料 未回収の賃料:青色申告のみ
災害による損失 損失分は3年繰越可能:青色申告のみ

このように、費用として計上できるものは数多くあります。費用の中でも、長く節税効果があるのが減価償却とローンによる費用計上です。

〈減価償却費〉

減価償却費を算出する計算方法には、定額法と定率法があります。なるべく簡単に減価償却を算出したいのであれば、定額法で計算してみましょう。定額法による減価償却費の計算式は次のとおりです。

減価償却費の額=取得価格×法定耐用年数に応じた償却率

法定耐用年数に応じた償却率、法定耐用年数についてはこちらを参照ください。

国税庁「減価償却資産の償却率表」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf
国税庁「耐用年数」
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34354.php

例えば取得価格が3,000万円の木造アパートであれば、法定耐用年数は22年、償却率は0.046となり、138万円を22年間減価償却できることになります。

〈その他覚えておきたい費用〉

ローンを組んで不動産投資を行った場合には、その利息分と保証料まで費用になりますので、忘れず計上しましょう。

また、青色申告者には多くの費用が認められています。青色申告者とは事業所得や山林所得、不動産所得のある人で、納税地の所轄税務署長の承認を受けている人です。
青色申告者が認められている費用でわかりやすいのが専従者給与でしょう。これは、青色申告者が、事業に携わる家族に対する報酬の支払いを経費として計上することができるというものです。
青色申告者ではない場合には、不動産経営業務に関する家族への給与は経費として認められません。

それ以外にも青色申告者は、年度内の未回収家賃についても費用として計上することができます。この場合、最終的に回収不可能となった「貸倒」分が対象です。

赤字の場合、損益通算をする

青色申告者としてアパート・マンション経営をしている場合、経理上赤字となったときには給与所得と損益通算を行うことができます。損益通算とは、不動産事業で損失が出た分を給与所得から控除できる制度のことをいいます。

初年度で損益通算できなかった分は、最大で3年間繰り越すことができます。経理上赤字となった場合、税金の支払額も少なくなります。

青色申告者となるためには

このようにさまざまな特典のある青色申告者ですが、誰でも青色申告者になれるというわけではありません。青色申告をするためには、まず管轄の税務署にて3月15日までに開業届を提出し、「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

事業を新たにはじめた方は、開業から2ヶ月以内が申請書の提出期限です。加えて、青色申告の特別控除である65万円控除を受けるためには、複式簿記による記帳が必要となります。

また、開業し青色申告者となるためには、不動産経営が事業規模でなければいけません。不動産における事業的規模は、アパート・マンションで10室以上、単独家屋の貸付で5軒以上と決められています。

※賃料収入が大きければ、この要件を満たしていなくとも事業規模と認められる場合もあります。

確定申告をしよう!

不動産所得における経費と所得がわかったら、確定申告に関して確認しておきましょう。確定申告が必要となるのは、青色申告者、副業で年間20万円以上の収入がある方、自宅分の住宅ローン控除やふるさと納税などをされている方です。

  • 確定申告の必要書類
  • 確定申告書B
  • 所得税青色申告決算書(不動産所得用)
  • 給与所得の源泉徴収票
  • 不動産売買契約書、売渡精算書、譲渡対価証明書(いずれも不動産会社から入手)
  • ローン証明書
  • 賃貸借契約書、家賃送金明細書(管理会社に委託している場合)
  • 管理費・修繕積立金用通帳
  • 不動産取得税の納付証明書

確定申告の手順

収支内訳書及び確定申告書類を作成した後は、2月16日~3月15日の間に所轄の税務署へ行き、確定申告を行いましょう。ネットから確定申告ができるe-TAXや、郵送でも確定申告も利用できますが、最初はなるべく税務署で指導を受けながら提出したほうがミスもなくスムーズです。

確定申告書類の作成方法がわからない方は、税務署で教えてもらいましょう。確定申告提出期限間近は混み合いますので、申告期間のはやいうちに行くことをおすすめします。

・税金のしはらいについて
確定申告の結果、所得税を支払う必要がでたときにはすぐに所得税を支払わなければいけません。逆に還付が受けられることがわかったときには、受取口座を指定しておくだけで自動的に還付金を受け取ることができます。

まとめ

不動産投資において、経費と所得を理解し適切な確定申告をすることは、税金を抑えるためにもとても大切です。これらの理解の差によって、利益幅も変わってしまいます。
不動産による収入が事業的規模である方は、すぐに青色申告承認申請書を提出し、青色申告者となりましょう。特別控除65万円のほかにも、さまざまな優遇が受けられます。
特にアパート・マンション経営では入居率などによっても得られる所得が変わります。経営の安定にもつなげるためにもしっかりと税金対策をしましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加